エンリッチドエア・ナイトロックスとは何?
最近、日本でも急速に浸透してきているエンリッチドエア・ナイトロックス。
そもそもエンリッチドエア・ナイトロックスとは、なんでしょう?
よく混同されがちな言葉ですが、「ナイトロックス」とは窒素(Nitrogen)と酸素(Oxygen)の混合気体を意味します。「Nitrogen」と「Oxygen」を合わせて作られた造語が「Nitrox」なんです。
混合の割合に関係なく窒素、酸素の混合気体すべてがナイトロックスですから、私たちが吸っている大気もある意味「ナイトロックス」です。そして「エンリッチドエア」は直訳すると「豊富なエア」という意味ですので、「エンリッチドエア・ナイトロックス」とは、通常の大気より酸素パーセンテージが高いナイトロックスを意味するのです。
逆にテクニカルダイブでは、酸素濃度が21%未満のナイトロックス・ガスを使用することがあります。それは「エンリッチドエア」ではないので、レジャーダイビングで使用される「エンリッチドエア・ナイトロックス」と区別されるわけです。
エンリッチドエア・ナイトロックスを使うメリット
医学的にみた利点
- 通常の空気より窒素の割合が少ないガスを吸うのですから、ダイビング後に体内に残留する窒素は明らかに減少します。空気でのダイビングと同じ時間、同じ深度に潜る場合、明らかに減圧症にかかるリスクは減少します。
- ダイバーには個人差があり、減圧症にかかりやすい因子を持つダイバーがいます。そういった因子を持つダイバーは通常より窒素の排出が遅れる可能性がありますので、エンリッチドエアを使うメリットは非常に高いです
減圧症にかかりやすい因子を持つダイバーとは・・・
- 喫煙するダイバー
- 肥満のダイバー
- 高齢のダイバー
- 卵円孔開存のあるダイバー
ダイブプラン上の利点
- 空気を使うダイビングと同じダイブプランの場合、ナイトロックスを使ったほうが無限圧潜水時間が飛躍的に長くなる、ということです。そして、水面休息時間も短くすることが可能です。
- 空気の設定でダイブテーブルやダイブコンピュータを使用時に、空気の代わりにナイトロックスを使用することで、より安全に潜ることができます。空気の減圧不要限界を守ることで、かなりの安全マージンを得ることができるわけです。
- ナイトロックスを使用した場合、体内に溶け込んでる窒素がAIRより少ないので、飛行機搭乗のリスクも減らすことが可能です。
ナイトロックスのデメリット
- 最大深度を守らない場合、酸素中毒の危険性
- 地域によって専用の機材が必要な場合がある
- AIRに比べるとやや高価
エンリッチドエア・ナイトロックスをオススメしたい人
メリットがかなり大きなナイトロックス。正直、すべてのダイバーにお勧めしたいです。
もし入手でき費用の面も許容されるなら、すべてのダイビングに使用したいところですが、地域によってまだ高額なところもあるので、その場合は最後のダイビングに使用するのがお勧めです。
1日に3,4本潜る場合は、最終ダイブに絶対使用してほしいです・・・
特にお勧めしたいダイバーは・・・
- 1ダイブで長時間水中に居るフォトダイバー
- 翌日飛行機に搭乗する時間がギリギリなダイバー
- クルーズ船やリゾートで1日に3ダイブ以上潜るダイバー
- 連日にわたって複数回の潜水を行うダイバー